お子さまにどのように接しますか

 

一番の特効薬は、身近な人の理解

さて、「1学期の途中で不登校になって、ウチの子、2学期から戻れますか?」と、いうご家族様からのご相談がよくあります。

 

一概に言うのは難しいんですけど、学校に戻るためには、

 

・学習の遅れについての不安

・クラスから向けられる自分への視線への恐れ

 

を、克服し、解決する必要があります。

 

もちろん、学校に「行かなくなった、行けなくなった」理由はたくさんありますし、理由が明確な場合も、そうでない場合もあります。

 

そして、復帰の方法にもクラス復帰、別室登校、適応指導教室など学校外機関への登校等、色々あると思います。

 

また、「新学期から学校に行く」と、本人が言っている際も、本人が上記の心配事を克服する見込みがあって言っているのか、本人が親御さんのことを思いやって無理をして言っているのか、この見極めも必要になるかも知れません

 

不登校になると、居場所が<自宅>である場合がほとんどです。

<自宅>ではご家族様の目がとても気になります。もし、ご家族様を喜ばせたり安心させて<自宅>という居場所を確保する為に、「新学期から学校に行く」発言が飛び出したのならば、復帰は難しいこともあります。

 

そして、お子さまご自身が学校に「行くつもり」だったのに、始業式の前になってやっぱり「行けない」となってしまうこともたくさんあります。

その場合は、ご本人がとても苦しむことになるでしょう

 

「自分は何で学校に行けないんだろう」

「また家族に嘘をついてしまった」

「自分はやっぱりダメだ」

 

など、自己否定的な考えになることも多いと思います。

 

どの場合であっても、お子さまのことを責めないであげて欲しいです。

そして、どの段階であっても、一緒に考えてあげて欲しいです。

 

「学校に行きたくない、行けない」しんどさへの一番の特効薬は、身近な人の理解だと、わたしは思います。

 

「今はしんどいよなぁ、だから、これからのことを一緒に考えよう」

こんな相談がご家族の間で自然と出来れば、少しだけ気持ちが楽になるのではないでしょうか。

 

待つということ

ご家族様にとって、しんどいことは、<待つ>ことだと思います。

 

<何もしない>とは違い、<待つ>こととは、見守りつつ手は出さないことだとわたしは考えています。

 

お子さまが「学校に行かない」と言いだし、もしかすると喧嘩になることもあるかもしれません。

 

「どうしていいかわからない」とご家族様もお子さま自身もとても悩まれたでしょう。

 

ご家族様から、「学校に行かなくても仕方ない」「自宅に居てもいい」と言ってあげられる段階になってくると、お子さまはホッとして、ご家族様にも安心した顏を見せたりしてくれるかと思います。

 

ご家族様はその様子を見て、ホッとする一方で、「本当はだらけているだけなのかも」と疑ったりすることがあります。

でも、ご家族様のそうした疑いが、お子さまにとってプレッシャーになると思います。

 

お子さまにとって、「学校に行けなくなった」という事は、本人のプライドがとても傷ついている状態です。

 

だからといって、お子さまがずっと立ち直れない訳ではなく、一度この経験をしたのであれば、ご自分で<次はどうする>という答えを見つけないといけない、自己成長の状況なのです。

 

それでもご家族様は、「本当は子どもが自分で答えを見つけないといけない」とわかっていながら、どうしても心配になってしまい、もしくは責任感や使命感のようなもので口出ししたくなるはずです。

 

「これなら、できるんとちゃう?」「いい加減、なにかせなあかんよ?」

 

ご家族様のお気持ち、わたしはすごくわかりますよ。

そりゃそうでしょう。

 

そうなんですけど、でも、ご家族様も成長の時だと思いませんか?

ご家族様も子離れの時期なんです、きっと。

 

わたしはせっかくのご家族様の愛情を、お子さまにとってのプレッシャーに変えたくないです。

だから、ご家族様には<待つ>ことを大切にしていただきたいのです。

 

<待つ>のはしんどいことです。

期間も決まっていません。

 

でも待っていると、きっとお子さまが<したいこと>を見つけます。

その時こそ、たくさん応援してあげましょう。

 

覚悟を決めて本音を打ち明ける

本音・本心がわからない世界ってしんどいですよね

 

学校はこうした不安を感じやすい場面です。

もし陰で自分がどのように言われているのか気になりだすと、学校のいろんなものが怖くなってしまうでしょう。

 

学校の中の集団が怖い

集団の中の小集団が怖い

先生が怖い

友達が怖い

 

さて、ではご家庭では本音や本心がきちんと通じ合っているのでしょうか。

 

お子さまと親御さんはどうやって本音・本心の会話をするんかな、と考えると、普段の生活の中では、『なんとなく感じ取っている』という表現になるんじゃないかと思います。

 

不登校になると、子どもたちは親の本音がとても気になっています。

 

親の様子を観察して

・兄弟間の差(お兄ちゃんと自分、妹と自分など)

・家族内の差(祖父母に見せる顔、お父さんに見せる顔)

・外出先、外の人との差(親が見せる外出先の顔と家の顔)

 

この辺りもしっかり見ているんだろうな、と思います。

自分の前でだけ、しんどい顔をしていないだろうか、当たり障りのない態度で誤魔化されているのではないだろうか…。

 

こうした不安を抱いているお子さまに対して、親御さんの本音はきちんと伝わっているでしょうか。

親御さんが普段「素」の自分を見せているつもりの家族の中で、お子さまに向かってきちんと本心を伝える場面はありましたか?

 

お子さまが不登校になったなら、「学校に行かなくてもいい」と言ってあげてほしいとお願いしています。

 

お子さまがとてもしんどそうで、このまま学校への登校を続けていたら、この子が自殺でもするんじゃないか…。

お父さんお母さんも、そういった状態の時は素直に「学校に行かなくてもいいよ」と伝えてあげられると思います。

 

こういった場合はいいんです、伝えてあげてください。

だって鬼気迫っている訳ですし、選択肢は他にないと思うんです。

お子さまも「家族が理解してくれた」「しんどい自分を受け入れてくれた」と感じるでしょう。

 

その後、しばらく自宅で休息しているお子さまを目にして、「やっぱりあの時『行かなくていい』と伝えてよかった」と、確信をもつこともあるでしょう。

 

しかし、少ししてお子さまが元気になって充電がたまって来ると、親御さんの「欲の芽」が出てきます。

 

(学校、いけるんじゃないかな、学校、いって欲しいな)

 

たとえお子さまには「行かなくていいよ」と言い続けたとしても、お子さまはだんだん家族への不信感が募るんですね。

だって本音・本心はわかってしまうでしょうから。

 

「学校に行かなくてもいい(本当は行って欲しい)」→「本当は行けって思ってるやん」

「おかあさんは大丈夫(ほんまはしんどいねん)」→「自分のせいでお母さんがしんどくなっている…」

 

そうなると、人間関係の構築の上で、家族でさえ信用出来ない自分はだめ、社会に適合できない、こう考えるようになり、自分の殻の中に引きこもってしまいます。

 

お子さまのためにも本音・本心を伝える改まった場を、ご家族様も覚悟を決めて作ってあげることが必要ではないでしょうか。

 

だって、お子さまは「学校行きたくない」という一大決心を伝えてくれたんですよ。

きっと、好きな人に告白して、プロポーズするのと同じくらい、「学校に行きたくない」と伝えるのは緊張するんやと思うんです。

一大決心です。

 

ご家族様も覚悟を決める必要はありますね。

 

「聞いて。わたしは、あなたに学校に行って欲しいと思っているよ。

でも、つらそうに学校に行くことよりもあなたが元気になって欲しいと思っているよ。

今のあなたもわたしにとっては大事だよ。

そのままでいいんだよ。」

 

アドバイスという形で背中を押そう

ご家族様も本当はわかっているはず。

何か新しいことを始めようとしている、子どもの背中は素直に押してやりたい。

 

でも、不安なんですよね

 

心配だし

それなのに

偉そうなことをいうし

足元は見えてないし

子どもだし

 

だからつい強く言ってしまう

「おかあさん、あなたのことを心配やから言ってるねんで」

 

それでも子どもたちは子どもたちなりに、たくさん一生懸命考えています

 

学校に行かないこと

それに伴う将来への不安

ご家族様のこと

自分のこと

 

もちろん経験値の少なさから、甘い考えや、大人にとって心配な行動をしがちです。

 

だったら、わたしたち大人は、

 

「おかあさんからのアドバイスはな、」

 

と、声をかけてみてはどうでしょう。

心配や不安ではなく、応援しているんやけど大人先輩としてのアドバイスがしたい、と。

そして、人生の先輩として応援しているよという気持ちを伝えること。

 

これだけでもきっとお子さまのモチベーションが変わるはずです

 

子どもと衝突してしまったら

お子さまは、自己表現が苦手なために、本心に反して「なんとなく」結果がこうなってしまったという経験をすることがあります。

 

例えば、

「アンタ、今日晩ごはん、どうすんの?」

という、お母さんにとって特に他意のない問いかけに対して、過剰に反応をする子も居ます。

 

「は? なんなん? ごはん食べるなってことなん?」

みたいなことになって、喧嘩をしてしまうのは、自分のイライラの暴走スイッチがどこで入るかわからない恐怖心と戦っている子どもさんだからこそです。

 

大人も子どもも「あ、言っちゃった」と、後戻りしづらくなるということがありますよね。

 

お子さま(特に不登校傾向の子ども)は、ストレスやプレッシャーを溜め込み、その膨大な起爆剤を心に蓄積し、何かのきっかけで点火され、そのはけ口がお母さんに向かうことが多いです。

 

中には暴言を吐く子も居ます。

自傷に出る子も居ます。

 

でも、お子さんの本心の部分、気持ちの部分をしっかり見つけてあげてください。

 

心からそういう言葉を言いたかったのでしょうか。

お母さんを傷つけてやるぞという気持ちを持っているのでしょうか。

 

今はそうするしかなかったのかもしれません。

だから、ご家族様が深刻に気にし過ぎてしまうとお子さんも後戻りや、訂正することがしづらくなります。

お子さまはお母さんの顔色を窺う達人です。

お母さんの顔が元気ならお子さんは安心します。

 

そのためにも、つらい時、哀しい時、お母さんは耐えなくていいんですよ。

逃げましょう。

 

そして、お子さまの本心を信じる余裕を持って帰ってあげてください。

 

大丈夫です、お子さまは、お母さんのことをたくさん想っていますので、一呼吸おいて、おいしい晩御飯を一緒に食べてあげてください。